日々雑感 利益額だけ見ても意味はない

 メディアでは日本企業が過去最高利益と報じており、日本の報道を見る限り日本企業が稼いでいるように見えます。しかし、M&Aが簡単にできる時代に利益額だけ見ても意味がありません。

 企業がM&Aをすれば売上高、利益額が増えるのは当たり前で、企業買収で利益額が増えてもそれ自体に何の意味もありません。企業買収を行えば売上高、利益額が増えるものの買収により資産も増えており、その資産を有効活用しているかという資本効率の観点から見る必要があります。日本企業の資本効率(ROE)は8%程度で世界的にも著しく低い状況は変わっておらず、利益額が増えても収益性の改善は全く見られません。日本企業は割高なところで企業買収を行うので資産が膨れ上がっており、いくら利益額が増えても収益性は改善していないのです。

 また、以前の会計では割高に企業を買収した場合にその差額をのれん償却することになっていましたが、最近できた国際会計基準ではのれん償却をする必要がなくなっており、国際会計基準を採用すればいくら割高な価格で企業を買っても企業を買えばそのまま利益額が増えます。しかし、買収した企業の経営がうまくいかなければ減損を計上することになりますが、国際会計基準だと過去に割高に買った分もまとめて減損することになり、国際会計基準でM&Aに失敗すると一気に減損が増えるのです。そうした減損での大赤字を出したのがキリンや東芝で、これは氷山の一角にすぎません。現在は国際会計基準を採用する日本企業が増えており、企業買収により目先の利益額は簡単に増えるものの、多額の減損リスクも抱えこんでいるのです。

 企業にとって重要なのは利益額ではなく収益性で、最低限必要な収益性が伴わないまま利益額だけ増えていても意味がありません。しかも日本企業は明らかに割高な価格で企業を買収しており、買収に失敗して減損を計上することになれば過去に割高な価格で買っているぶん多額の減損を計上することになります。M&Aが簡単にできる時代に利益額だけ見ても意味はなく、現状の日本企業はむしろ多額の減損リスクに注視すべき状態だと思います。
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パラケルスズ

Author:パラケルスズ
アラサーの投資家です。長期で持つほど気長ではありませんが、毎日モニターを凝視するデイトレも面倒くさいので、レバレッジをきかせつつ2、3週間保持するトレードを行っています。

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